出生前診断(NIPT)を受けるかどうかは、多くの妊婦さんやご家族にとって大きな選択です。私自身も「本当に必要なのか」「どんな流れで進むのか」「費用はどれくらいかかるのか」など、たくさん調べた上で決断しました。
この記事では、聖路加国際病院でNIPTを受けた実体験をもとに、検査の流れや費用、カウンセリングの雰囲気、実際に受けて感じたことなどを詳しくまとめています。NIPTは確定検査ではなく、結果によっては追加の検査やカウンセリングが必要になることもあります。だからこそ、事前にどんな準備や心構えが必要なのか、実際の体験を通してお伝えできればと思います。
これからNIPTを受ける方や、受けるかどうか迷っている方の参考になれば幸いです。
はじめに
NIPT(新型出生前診断)は、妊娠中の赤ちゃんの染色体異常を調べるための血液検査です。ここ数年で認知度が高まり、受ける方が増えています。
私自身、「もしもの時にどうするか」ということを夫としっかり話し合った上でNIPTを受けることに決めました。
聖路加国際病院でNIPTを受けることにした理由は、産院であったからというだけでなく、何より信頼できる総合病院であること、遺伝カウンセリングがしっかりしていること、そして妊婦さんや家族へのサポート体制が整っていると感じたからです。
この記事では、実際に私が聖路加でNIPTを受けた体験をもとに、検査の流れや費用、受けて感じたことを正直にお伝えします。
NIPTの基本情報
NIPTは母体の血液から赤ちゃんのDNA断片を検出し、主に21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、13トリソミーの有無を調べる検査です。母体の採血だけで調べられるため身体的負担が少なく、流産リスクもありません。
また羊水検査や絨毛検査と比べて精度が高い(特に陰性的中率が99.99%と非常に高い)ことが特徴ですが、あくまでスクリーニング検査なので「確定」ではなく、陽性の場合は必ず追加の確定検査(羊水検査)が必要になります。
なおNIPTは保険適用外の自由診療となるため、費用が高額(私の場合は約13万円+カウンセリング料)です。
わかること | わからないこと |
21,18,13トリソミーの有無※ | 染色体以外の遺伝子疾患や構造異常 |
※追加オプションで他の染色体異常も検査可能な施設も | ※確定診断ではない (陽性の場合は羊水検査などの確定検査が必要) |
トリプルマーカー検査について
聖路加ではNIPTのほかに「トリプルマーカー検査」という選択肢もあり、ダウン症候群(21トリソミー)などの先天性異常の可能性を“確率”として算出することができます。検査は妊娠14週から16週にかけて、母体の採血のみで行われるため、NIPT同様に身体的な負担は少ない検査です。
トリプルマーカー検査の結果は「1/200」や「1/500」といった形で示されます。たとえば「1/200」という結果が出た場合、同じ結果だった妊婦さんが200人集まると、そのうち1人の赤ちゃんがダウン症候群で、残りの199人はダウン症候群ではない、という“確率”を意味します。あくまでスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。
NIPTと比べると費用は16,500円と安価ですが、確率がわかってもその後どう判断すればよいか悩む方も多いと思います。私自身も、確率だけで最終的な判断をすることに不安があったため、NIPTを受けることにしました。
聖路加国際病院でNIPTを受ける流れ
予約方法・受診できる時期
NIPTは妊娠10週以降に受けられるとのことだったので、私は妊娠10週1日目に「NIPTを受けたいのですが、最短でいつ受けられますか?」と電話で問い合わせをしました。案内された最短の日にちは10週6日目でしたが、私の都合が合わなかったため、妊娠11週1日目に予約を入れることにしました。妊娠10週を迎えたらなるべく早めに受けたいと考えていたので、スムーズに予約が取れてひとまず安心しました。
検査当日の流れ(所要時間:約1.5時間)
検査当日は、まず遺伝カウンセラーによるカウンセリングから始まります。
ここで「NIPTでわかること・わからないこと」「ダウン症候群の赤ちゃんが生まれる確率」「陽性だった場合の流れ」「家族とどう話し合うか」「聖路加ではNIPTで性別は教えてもらえないこと」など、丁寧に説明してもらえました。
1対1なので、不安に思っていたことや疑問点など、気になることを遠慮なく相談できたのが心強かったです。
カウンセリングが終わると、同意書にサインし、遺伝カウンセリング代(16,500円)を支払ってから採血室へ移動します。
採血自体は数分で終了し、身体的な負担はほとんどありませんでした。
「終わった…」という安堵感と、「結果が出るまでの数日が長く感じそうだな…」という緊張が入り混じった、不思議な気持ちだったのを覚えています。
結果が出るまで
結果は約2週間後に電話で聞くことになりました。
結果報告書は郵送も選べましたが、私は結果が出た次の妊婦健診時に受け取ることにしました。
結果は陰性でしたが、この2週間はネットでいろいろな体験談を読みすぎて不安になったり、逆に「今できることはない」と割り切ったり、気持ちが揺れ動く毎日でした。
それでも、今振り返ってみても「NIPTを受けて良かった」と思っています。
費用について
聖路加国際病院でのNIPT費用は、基本検査(21・18・13トリソミー)で128,700円+カウンセリング料がかかりました(2024年時点)。保険は適用されず、全額自己負担です。
項目 | 料金 |
基本検査 | 128,700円 |
カウンセリング代 | 16,500円 |
合計 145,200円 |

実際に受けてみて
年齢が上がるにつれてダウン症候群(21トリソミー)の赤ちゃんが生まれる確率が高くなることは知っていましたが、実際に具体的な数値を目にしたのは初めてだったので、表で確認したときは正直驚きました。
例えば、20歳で出産した場合は1,177人に1人、30歳では704人に1人、35歳で299人に1人、40歳になると87人に1人、そして45歳では22人に1人と、年齢が上がるごとにリスクが急激に高まることがわかります。
カウンセリング時に配布された資料には1歳刻みの頻度(陽性的中率)が載っていたため、自分の年齢に当てはめてみることで、より現実的にリスクを考えるきっかけになりました。
13トリソミー | 18トリソミー | 21トリソミー | |
頻度(陽性的中率) | 頻度(陽性的中率) | 頻度(陽性的中率) | |
20歳 | 1/11042(8.3) | 1/4584(17.9) | 1/1177(45.9) |
25歳 | 1/9778(9.3) | 1/4053(19.8) | 1/1042(49.0) |
30歳 | 1/6470(13.4) | 1/2727(26.8) | 1/704(58.7) |
35歳 | 1/2576(28.0) | 1/1152(46.5) | 1/299(77.0) |
40歳 | 1/698(58.9) | 1/336(74.9) | 1/87(92.1) |
45歳 | 1/220(82.0) | 1/84(92.3) | 1/22(97.9) |
最後に
NIPTはとても個人的でデリケートな選択です。この記事が、これからNIPTを受ける方や迷っている方の、少しでも参考になれば嬉しいです。自分と家族が納得できる選択ができるよう、必要な情報を集めて話し合うことが大切だと実感しました。